狙われし姫巫女と半妖の守護者
だから私はおさえこむようにその翼を必死に撫でつける。
ふわりとしていて滑らかな手触り。
軽くてしなやかな翼。
これが、紫希なんだ。
私は瞼を閉じ、細くて強い声の糸を紡ぐ。
「それがなんだっていうの……。私はこの翼を綺麗だって思うよ」
「やめろよ! 烏天狗なんだぞ! それも父はあの九条家の人間なんだぞ! 俺はその子供なんだぞ!」
私の手は振り払われる。
肩に痛みが走って思わず顔がゆがむ。
紫希が目を見開き、申し訳なさそうに涙をぽろりとこぼす。
「だから、やめてくれよ……。こんな姿醜いだけだろ……」
彼がまっすぐに膝に伸ばした腕は今にも折れてしまいそうに震えている。
声は掠れて消えてなくなってしまいそう。
紫希はいつもいつも自分をいためつけるね。
私は涙のしみた土を握りしめた。