狙われし姫巫女と半妖の守護者


私は自分をイジメる紫希が、大嫌いだ。

もうそんな彼を見るのはこれが最後でいい。

私が最後にしてやる。

私を見ろと彼を睨む。

彼が呆然として私を見つめる。

「私がそんなことで紫希を嫌いになると思った? 見くびらないでよ。それじゃあ琴弥たちと同じだよ。種族の違いなんて関係ない。紫希は紫希だよ」

私は胸を張って、紫希に訴える。

想いが溢れてまた涙になる。

声がつまる。

でも、伝わってほしい。

種族の違いがなんだ。

紫希が、烏天狗だから、九条家の血筋だから、それがなんだって言うんだ。

「だけど俺は……」

そんなことを言うなんて紫希らしくない。

半妖の村は、そんなことよりも、それぞれの人の素敵なところを見られる素敵な村じゃないか。

人間である私を、みんなは優しく受け入れてくれたじゃないか。


< 491 / 568 >

この作品をシェア

pagetop