狙われし姫巫女と半妖の守護者
私は自分をイジメる紫希が、大嫌いだ。
もうそんな彼を見るのはこれが最後でいい。
私が最後にしてやる。
私を見ろと彼を睨む。
彼が呆然として私を見つめる。
「私がそんなことで紫希を嫌いになると思った? 見くびらないでよ。それじゃあ琴弥たちと同じだよ。種族の違いなんて関係ない。紫希は紫希だよ」
私は胸を張って、紫希に訴える。
想いが溢れてまた涙になる。
声がつまる。
でも、伝わってほしい。
種族の違いがなんだ。
紫希が、烏天狗だから、九条家の血筋だから、それがなんだって言うんだ。
「だけど俺は……」
そんなことを言うなんて紫希らしくない。
半妖の村は、そんなことよりも、それぞれの人の素敵なところを見られる素敵な村じゃないか。
人間である私を、みんなは優しく受け入れてくれたじゃないか。