狙われし姫巫女と半妖の守護者
あたたかくなる。
「私は、あの村にそれを教えてもらったよ。私は姫巫女でも、お母さんのように強くはない。結局私は、私なんだ。でも、笑いかけてくれる人がいた」
鮮明に思い出される。
結い花をくれた天くんのあどけない顔。
ずっとずっとお母さんのことを想ってくれていたセツ婆の涙に濡れた笑顔。
紫希を想って花みたいな笑顔を見せてくれたあんずさんさえも。
あの村には壁がない。
だから私はあんなにもあたたかく受け入れてもらえた。
あの村の人たちの瞳は、あまりにも美しく澄みきっているの。
そして、今目の前には、一番私を見ていてくれた黒く澄んだ瞳がある。
そう、私の愛おしい人が、前にいる。
かっこわるくてもいいや。
私はぐしゃぐしゃの泣き面で、まっすぐに紫希を見て微笑んだ。
「そして、私の想いを応援してくれる人がいた。だから私は私でいられたの」