狙われし姫巫女と半妖の守護者


潤んでしまって、間近にある紫希の顔さえもう鮮明には見えない。

だけど、私の方を向いてくれているのだけはよく見えるから、私は告げる。

「私は紫希のその翼に守られた。私は、紫希が好きなんだよ」

思いきり濡れそぼった声を張り上げて、ありったけの想いを声に託す。

「紫希が好きなんだよ。紫希がたとえ他の人を好いているとしても、私は紫希が好き」

胸が熱くなる。

想いが弾けて、頭がまっ白になりそうだ。

涙が更にあふれていく。

もうここまできたら、言っていることがめちゃめちゃでもかまわない。

紫希がこれ以上自分を嫌いにならないでくれればそれでいい。

ここにもあなたのことを好きな人間がいるんだってことを、知ってくれれば十分。

私は泣きじゃくりながら、胸から溢れる言葉を、なにもかまわず紡いでいく。

「ただ、紫希のそばにいたいの。守ってほしいんじゃない。16年もの間紫希が私を守ってくれたように、今度は私が紫希の支えになりたい。紫希がイヤだって言っても私は……」


< 494 / 568 >

この作品をシェア

pagetop