狙われし姫巫女と半妖の守護者
潤んでしまって、間近にある紫希の顔さえもう鮮明には見えない。
だけど、私の方を向いてくれているのだけはよく見えるから、私は告げる。
「私は紫希のその翼に守られた。私は、紫希が好きなんだよ」
思いきり濡れそぼった声を張り上げて、ありったけの想いを声に託す。
「紫希が好きなんだよ。紫希がたとえ他の人を好いているとしても、私は紫希が好き」
胸が熱くなる。
想いが弾けて、頭がまっ白になりそうだ。
涙が更にあふれていく。
もうここまできたら、言っていることがめちゃめちゃでもかまわない。
紫希がこれ以上自分を嫌いにならないでくれればそれでいい。
ここにもあなたのことを好きな人間がいるんだってことを、知ってくれれば十分。
私は泣きじゃくりながら、胸から溢れる言葉を、なにもかまわず紡いでいく。
「ただ、紫希のそばにいたいの。守ってほしいんじゃない。16年もの間紫希が私を守ってくれたように、今度は私が紫希の支えになりたい。紫希がイヤだって言っても私は……」