狙われし姫巫女と半妖の守護者
私は思わず、微笑んだ。
「もう、ずっとそばにいる」
涙に濡れた声を弾ませて、彼の黒い翼までも大きく大きく抱きしめた。
愛が溢れていく。
紫希が背中にまわしてくれる腕が、この上なく幸せに思える。
私は幸せだ。
もう言えないと思っていた、この想いが伝えられた。
通い合った。
あたたかくて幸せだ。
私はキズの痛みなんてどうでもよくなって強くきつく抱きついていた。
紫希のことが好きだ。
するとそんな時、紫希の肩越しに、一面に輝くまっ白なものが見えたのだった。
「ねえ、紫希、あれ見て……」
私がわずかにそう呟くと、彼はそっと離れ、ゆっくりと振り返った。
私たちは感嘆のため息を漏らす。
ほとんど光の差しこまない鬱蒼とした黒々しい葉たちの蓋の下。