狙われし姫巫女と半妖の守護者
愛を貫いて自分のまま生きている、村の人々に。
ああ、だから美しいんだ、こんなにも。
だから、姫巫女は、村の人たちそっくりの花を作りだしたのだ。
綺麗だな……。
美し過ぎて、勝手に涙が溢れてしまう。
この素晴らしさこそ、お母さんが守っていたもの。
そして私に引き継がれたもの。
随分と、大切なものを預かってしまったと、改めて思う。
私はまた涙をぽろりと流し、弱音をこぼす。
「またこの花を、笑顔で見られるかな……」
村の人たちと、また笑顔で語らうことができるかな。
お母さんと違って、まだまだ未熟なこの私に。
つい声が細ってしまう。
けれど、紫希は囁いた。
「俺がついているのを忘れるな」
紫希の細い指が、私の顎を優しく絡め取る。