狙われし姫巫女と半妖の守護者


愛を貫いて自分のまま生きている、村の人々に。

ああ、だから美しいんだ、こんなにも。

だから、姫巫女は、村の人たちそっくりの花を作りだしたのだ。

綺麗だな……。

美し過ぎて、勝手に涙が溢れてしまう。

この素晴らしさこそ、お母さんが守っていたもの。

そして私に引き継がれたもの。

随分と、大切なものを預かってしまったと、改めて思う。

私はまた涙をぽろりと流し、弱音をこぼす。

「またこの花を、笑顔で見られるかな……」

村の人たちと、また笑顔で語らうことができるかな。

お母さんと違って、まだまだ未熟なこの私に。

つい声が細ってしまう。

けれど、紫希は囁いた。

「俺がついているのを忘れるな」

紫希の細い指が、私の顎を優しく絡め取る。


< 499 / 568 >

この作品をシェア

pagetop