狙われし姫巫女と半妖の守護者
私は一瞬慌てて目を見開いたけれど、すぐ静かに瞼を下ろす。
そして、やわらかいものが、私の唇へそっと触れた。
涙が流れるのに、胸が幸せに高鳴る。
私は切なく眉根を寄せる。
ちょっぴりしょっぱい口づけの味。
でも、重なり合った唇はとびきり優しくてあたたかい。
私の恐怖は、紫希が唇とともに、簡単に奪い去ってしまう。
紫希は、そういうところがちょっぴりズルくて、好きだ……。
そうしてやっと唇が離れた。
紫希は綺麗な瞳で私をまっすぐに見て、はっきりと言い放つ。
「お前は、俺が必ず守る」
彼の瞳が力強く煌めく。
彼の声が、心の奥にまで強く響く。
私は頷く代わりに、手の甲で涙を拭い去る。
守られてばかりいるのはイヤだけど、今はその言葉がなによりも力強い。