狙われし姫巫女と半妖の守護者


私も知っていたはずだけれど、やっぱりすごいって思う。

紫希の言うとおり。

この村の人たちは、美しくどこまでも強い。

屈することを知らず気高い。

だから、私も気高く、この村を守ろう。

みんなを信用しきって、瞼を下ろす。

胸に鈴を押し当てて、両手で力強く包み込む。

覚醒の日から、あの光を一度も出せたことはないけど、今こそやらねばならない。

今、私の力を引き出すんだ。

どうか、姫巫女の力を私に……!

全身の力をただ一点に注ぎこむ。

「九条家の恥め!」

閉ざした視界の向こうで琴弥の雄叫びが聞こえる。

胸が痛くなるような刃の音が鼓膜に叩きつける。

紫希の唸り声が聞こえる。

でも、私は瞼を開けずに歯を食いしばる。


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