狙われし姫巫女と半妖の守護者
守りの鈴
*・*・*・*・*
あれから数日がたち、なにもわからないまま平穏な日々が流れていた。
私は居間に入るとカバンを畳の上へと放りだし、部屋の隅におかれた小さな低いテーブルの前に正座した。
「お母さん、ただいま」
淡い桃色の花が活けられた花瓶の横に、ひとつの写真立て。
巫女服をきちんと着こなした髪の長い女の人が、カメラに向かって穏やかな笑みを向けている。
この人が、今はもういない私のお母さんだ。
私は静かに手を合わせる。
お母さんといっても私の記憶にはないのだけれど……。
お母さんは私を産んだ後あまりたたずに体調を崩し亡くなったということだけは、お父さんから聞いている。
だから、お母さんとの思い出はなにひとつない。
どんな人だったのかもわからない。
この写真に映ったお母さんしか知らないんだ。