狙われし姫巫女と半妖の守護者
でも私は駆ける。
鈴を袖の中に投げ入れ、風のように一刻も早く駆け抜ける。
たった今地面に突き刺さった刀の元まで。
私はそれを一息に引きぬくと、大袈裟に振り回しながら、即座に踵を返した。
「ああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
狂ったように吐き出す叫び声。
琴弥の手の平に黒いエネルギーが育っている。
紫希を至近距離から狙っている。
走れ、私。
もっともっと早く駆け抜けろ!
紫希にキズなんてつけさせない!
「させるかっ!」
大きく地を蹴って、紫希の前に体を滑り込ませる。
そして私は、黒い力をため込んだ手の平めがけて、刀を振り抜いた。
けれど、その刃は受け止められ押し返される。
私は刀を握り直し、押し下げられていく下駄を地面に強く突き刺して堪える。