狙われし姫巫女と半妖の守護者
力強い目力を彼に向ければ、彼は手を仰ぎ見て、大声を響かせた。
「不愉快だ。今すぐにお前も村ごと消し去ってやる。この一撃で壊滅だ!」
そして、私たちの方に向き直り、翼のように両腕を広げた。
「この16年間、何の準備もしていなかったと思うか? あれを見ろ」
琴弥の右手が、烏天狗の城の方を指差した。
一同から、悲鳴まじりの声が沸き起こる。
闇にそびえる烏天狗上の傍らに、城にも負けぬ巨大さのシルエットが浮かび上がる。
天を仰ぐほどに首を傾けねば全容が見えない、鉄の塊。
大砲だ……。
大口の中に、紫がかった光のまがまがしいエネルギーが渦巻いているのが見える。
私は声を失い、硬直する。
膝が笑いだす。
紫希と一緒に握る刀が震えてしまう。
琴弥の声が、眠れる空の元、恐ろしいほど残酷に淡々と響き渡った。