狙われし姫巫女と半妖の守護者
「あの大砲にはこの村を破壊するだけの妖力を毎夜毎夜詰め込んでいた。こんな小さな村、あれの一撃で穴と化す。もちろん半妖なんて一匹残らず木端微塵だ。それが今に、ここへ向かって打ち出される」
誰もが声を失った。
胸がどうしようもなく騒ぎ、痛む。
視界が潤む。
運命というものがあるのなら、あまりに残酷すぎる。
なぜ、この村にばかり、残忍な刃が向けられるの……?
なぜ苦しみばかりが、この村を襲うの……?
もう悲しみなんていらない。
この村にはもう、笑顔しかいらないの。
なのに、琴弥の目は私たちを睨んでいた。
「お主らは今度こそ、しまいだ」
止めようのない涙が、闇夜に煌めいて落ちる。
絶望の大口が、私たちの村をじっと見下ろしていた。