狙われし姫巫女と半妖の守護者
ひとつ
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運命というものが憎らしい。
恐怖は次第に怒りに変わり、私は刀を強く握りしめた。
背中で恐怖するどよめきが波のように広がっていく。
今も、大砲の中で私たちを狙う妖力があやしく光って脈動している。
私は下唇を噛んで、胸にこみ上げる悲しみをおさえつける。
苦しくて胸が張り裂けそうだ。
私は、こんな時になっても、力が使えないの?
いったい、なんのための姫巫女なの?
闇に染まった、美しいはずの草原に、悔しさのにじむ足を押しつけて、私は手をこまねいている。
私は、今すぐにでも叫びたかった。
この使い物にならない自分を、この身ごと投げ捨てたい。
なんで、私はお母さんみたいに強くなれないんだ……!
私は痛いほどにきつく瞼を閉じる。