狙われし姫巫女と半妖の守護者
そんなとき、いくつもの声が耳に飛び込んできた。
「姫巫女様、お逃げください!」
「そうだ、凛様の逃げ道を作れ!」
私は刀から手をはなし身をひるがえす。
「あとはこの私たちにお任せください」
「凛様はやく!」
村の人々が左右に分かれ、私の前に道を作る。
皆、必死の形相で顔を歪ませ、腕にはかたく武器を握り、私に強く呼びかける。
一番手前にいたセツ婆が、しわがれた手で私の手をきつくきつく掴み、頭をすりつけて懇願する。
私の腕にあまりに重い想いがのしかかる。
セツ婆の声が、苦しげに詰まりながら懸命に紡がれるのだ。
「凛様にはどうか無事でいてほしいのです! だから、だから、どうかお逃げください!」
私は声も出なくなって、顔を歪め涙をこぼす。
唇の隙間から情けない嗚咽が漏れる。