狙われし姫巫女と半妖の守護者
私は手をそっと下ろしながら、唇をきゅっと結んだ。
小さい頃、みんなにはお母さんがいるのに、いないのは私くらいで本当にさみしかった。
おんぼろな神社の家も、お母さんがいないことも、小学校低学年の男子にはからかうための材料になって、私は意地悪な男子たちに何度泣かされたかわからない。
そんなことがあったから、神社はあまり好きではなくなってしまったし、あんなにも早くに亡くなってしまったお母さんの写真の前で怒りながらビービー泣いたこともあった。
だけどお母さんにはずっとあこがれ続けてきたんだ。
今になったって思う、お母さんに一度でも会いたいって。
だから私は小さい頃、お父さんにお母さんのことをたくさん聞いてみようとした。
だけど、辛いのか詳しいことは話してくれなくて、子供ながらにお母さんのことは聞いちゃいけないんだって悟った。
そんな私は未だにお母さんのことをほとんど知らない。
きっと優しいお母さんだったんだろうなって、いつも想像をふくらましていた。