狙われし姫巫女と半妖の守護者


なぜか、心臓が止まってしまいそうだった。

涙だけが静かに頬の上を流れていく。

「こいつらを一匹たりとも逃がさぬよう、完全包囲しておけ」

無情に響く声。

悲鳴をあげ、あまりの衝撃に息を止める私。

私はあいている片手に痛いほど爪をつきたてた。

歯も砕けそうなほどに食いしばる。

もう、目の前は真っ暗だ。

烏天狗の漆黒色に染まりきった世界。

村の人の希望のみなぎる懸命な顔も見えなくなって、希望の灯が一気に消えさる。

私は悔しく唇を引き結び、うち震えながら俯いた。

こんな非情なことをして許されるのだろうか?

力があれば、どんな者からも健気な希望を奪ってもいいのだろうか?

涙が落ちる。

やっぱり、私は神様なんていないと思う。


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