狙われし姫巫女と半妖の守護者


絶対に絶対に、ここへ帰ってこよう。

だから今は、焼き付けよう、みんなの素敵な笑顔の輝きを。

「では、行ってきます!」

私はそうあいさつをして、大きく大きく手を振った。

紫希とともに歩きだしてからも何度も何度も振り返っては手を振った。

あの輝きが遠く遠く薄れるまで、私は続けた。

私は素敵な村にしばしの別れを告げて、紫希に続いて洞窟へと入った。

私たちは薄暗い洞窟の中を無言で歩いた。

暗いことなんて今は気にならなかった。

私は彼の背中ばかりを見つめ、彼のことばかり考えていた。

彼は私を送ったらすぐに村へと戻るのだろう。

さっき彼自身も今後のことを話していた。

だとすれば、私たちはも今までのようには会えなくなるのだ。

遠く遠く、この洞窟しかない分厚い壁にへだたれて、私たちは離ればなれになるのだ。


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