狙われし姫巫女と半妖の守護者
私たちはどうなるのだろう……。
なんで私たちの住む世界は違ってしまったのだろう。
帰る場所が同じだったらどんなにいいだろう。
考えれば考えるほど胸は痛くて、私は下ばかり向いて歩いていた。
けれど、こんな時ばかり、あんまり意地悪だ。
もう私の足元は光に溢れていた。
顔をあげれば、見慣れた草原に、それを取り囲む森、武骨な岩肌。
もうここは半妖の村ではない。
私の町。人間の世界。
それでも彼は無口に進む。
私の足がやっとついていけるほどの速度で、どんどん森へと入っていく。
私たちに影を落とす森。
頭上で、まるですすり泣くように揺れる葉の音。
葉の間からこぼれ落ちる光は、涙のようだと思った。
影の落ちた彼の濃くなった灰色の着物が、迷いなく先を行く。