狙われし姫巫女と半妖の守護者
後ろ向きに、力なく石段を下がる。
いい加減にしてほしい。
こんな過去の伝説みたいな人と、今を生きている私になんの関係もあるはずがないじゃない。
痣の形なんてたまたまだ。
ブラウスをきつく掴みながら、自分へと懸命に言い聞かせ続ける。
すると急に耳へと飛び込んできた、森のざわめき。
鳥の甲高い鳴き声と羽ばたく羽の音がけたたましく重なり合う。
社はその音にすっかり囲まれて、私は身の毛がよだった。
激しく鼓膜へと叩きつけられる音に圧倒されながらも、殺気を感じてすぐに振り返る。
「もう返ってきてたのか、凛。おかえり」
拍子抜けして私は賽銭箱へともたれかかった。
「ああ、ただいま、お父さん」
自宅わきの茂みをわけて、ポロシャツ姿のお父さんが顔を出していた。