狙われし姫巫女と半妖の守護者
彼は、私とはなれることがちっともさみしくないのだろうか。
想いがやっと、通じあったと思ったのに……。
私は苦しい胸に手を当て俯き立ち止まった。
「私、やっぱり、紫希と離れるのイヤだよ……。一緒の世界にいたいよ」
情けなく声はかすれる。
たった数日間だったのに、セツ婆たちと別れるのさえ辛かった。
なのに、紫希とも別れなくてはいけないなんて、辛すぎる。
でも、紫希は私を振り返らずに、しなやかな手でこぼれ来る涙のような木漏れ日を、その手ですくっていた。
彼の手が美しく光っていた。
「どこにいたって、つながっているだろ。俺たちは、種族を超えられれば、他に超えられないものはないだろう。お前はまだ人間界にいるべきだ。人間のお前には、人間界で学ぶべきことも、一緒にいるべき人もいるだろう」
微かに声は震えていたけれど、どこか芯が通っていて強く、私の心は震えた。
そしてやっと、紫希はやわらかく笑って振り向いた。