狙われし姫巫女と半妖の守護者
「そんな顔をするな。凛には笑顔が似合う。ほら、ただいまって言ってこい」
私は口を開こうとする。
けれど、彼に背中を押しだされ、彼は遠ざかっていく。
私はつんのめりながら、光溢れる森の外に転がり出ていた。
「凛……」
「凛だ!」
すると頭上から声が降ってくる。
私は息をのんで目をみはった。
転んで座りこんだまま、私は大切な人たちの顔が心に染みて涙を流す。
「ちょっとは強くなったのかと思ったら、凛ったらまた泣くんだから」
笑って手を差し出して、短い髪をさらりと揺らす真央の姿。
「凛……。無事でよかった……」
いつものポロシャツ姿で、涙を流すまいと眉間にしわを寄せているお父さん……。
帰ったら一番に会いたかったふたり。
「いっぱいいっぱい……心配掛けてごめんね。無事に帰りました……。ただいまっ」