狙われし姫巫女と半妖の守護者


そう言いながら、涙と笑顔が一緒に溢れた。

ただいまと口にするだけであたたかい。

ふたりの顔が涙で一気に涙で歪んでいく。

ただいまと言えることが、こんなに幸せなことだって、私は知らなかった。

「おかえり」

そして、大切な人たちが言ってくれるおかえりが、こんなにも幸せなことも知らなかった。

立ち上がった私は嬉しさのあまり、ふたりの手を握って、幸せをかみしめていた。

すると、真央がくすりと笑う。

「よかった。あの人のおかげで、私たちが凛を一番に迎えられて」

「えっ……」

無邪気の微笑んでそう言った真央に、私は目を丸くして声を漏らす。

「今朝、紫希くんが教えに来てくれたんだよ、凛が帰ってくるとね」

「凛はすごく頑張ったから、ふたりで迎えてほしいってね」

お父さんと真央が順番に言う。


< 562 / 568 >

この作品をシェア

pagetop