狙われし姫巫女と半妖の守護者
本当に、つくづくかっこよくない父である。
だけど、お母さんがいなくなってお父さんはひとりで神主を務めながら私を育ててくれたんだ。
「もうすぐ、お母さんの命日が来るね」
私はスカートの埃を払いながら立ち上がって、お父さんに呼び掛ける。
そしてゴミを取ってあげようと背中に右手を伸ばした。
「そう、だな……」
少し遅れて返ってくる低い声に、私はそっとお父さんの背中を見つめて他の言葉も待ったけど、ただ沈黙して姫巫女様に礼をしていた。
お父さんの背中へと伸ばした右手を思わず引く。
昔から、お母さんの話を聞きたいと思っても話が続いたためしがない。
お母さんが亡くなったこと、もうじき16年になる今もお父さんは辛くてたまらないのかな。
行き場をなくした右手を左手で包み込み、伏し目がちにお父さんを見つめた。
でも肩のあたりに紙の切れ端のようなものを見つけて、私は眉をしかめる。
黄ばんだ古めかしい紙の一部。