狙われし姫巫女と半妖の守護者


お父さんがなにか物言いたげに振り向いたけど、またあの話ならまっぴらごめん。

玄関に出ると踵をはきつぶしたスニーカーに無理矢理足を突っ込んだ。

そのまま外へと飛び出して、乱暴にドアを閉めてやった。

すっかり深い藍色へと変わった空の下。

私は地面の土を蹴りつけて、あたり散らすように歩く。

お父さんに強く注意されなくたって、あんな洞窟にもう近づくもんか。

最近、不安と苛立ちばかりが募っていく。

理解すらできないおかしなことが起こりすぎてて、パニックにもなる。

怒りのままに大股で歩いていれば、あれにもこれにもイライラしてくる。

やがてはイヤになって、参道の階段へとお尻を叩きつけるように腰を下ろした。

ちょっぴり痛くて立ち上がりそうになったけど、我慢して空に向かってしかめっ面をした。

ド田舎の空には、星がよく輝く。

ほとんど黒に近い色だった空だけど、細めた目には次々と様々な大きさの星が見えてくる。


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