狙われし姫巫女と半妖の守護者
声は短くそう告げ、私の隣にどっしりと腰を下ろす雨宮おじさん。
でも雨宮おじさんはなにも聞かずに、私と一緒に夜空を見上げていてくれた。
ちらっと隣を窺ってみると、私よりも高い位置に雨宮おじさんの首筋があった。
夜のせいで、青白く見える。
私は小さな声を紡ぎ出した。
「私、わからなくて。お父さんが私のことどう思っているのか。信頼してくれていないのか、それとも」
私は途中で思わず口をつぐんでしまったけれど、もっと小さな声でつけたした。
「お母さんのことで、私を見ると辛いのか」
暗く沈んだ声が森の闇に滲んでいく。
外灯すらないここには、空からの淡い光しかない。
私の足元はスニーカーの輪郭がやっとわかるくらいの闇に包まれている。
「あの正信さんが、そんなこと思うわけないだろう。そんな人じゃない」
雨宮おじさんは、そんな暗さにも飲まれずに、私に向けてケロッと笑った。