狙われし姫巫女と半妖の守護者


それでも私はまだ俯いた。

「でも……。詳しい説明はなしで、いいつけばかりきつくするんですよ。私は確かにこの神社が好きじゃないけど、今日なんて教えてもらおうとしてもはぐらかされた」

そして何よりも昔から気になってたのはこのこと。

「お母さんのことだって、昔からそう」

私はずっと、お母さんのことたくさん知りたかった。

そんな私の言葉に、雨宮おじさんは苦しげに瞼を伏せて片手を額に押し当てた。

「そうだな、確かに辛かったろう。だからって凛ちゃんのせいじゃないし、正信さんがそんなことを思うはずがない。涼子さんはいつも言ってたからな」

私はその名前に耳をそばだてた。

涼子は、お母さんの名前だ。

「俺は涼子さんがお姉さん的存在だって話はしたよね。俺、小学生の頃イジメられてて、上級生だった涼子さんに何度も助けられたんだよ」

雨宮おじさんは照れを隠せずに、いつもの癖でおでこをかいた。


< 68 / 568 >

この作品をシェア

pagetop