狙われし姫巫女と半妖の守護者
まるで、ううん、本当に先生らしい助言に私は笑いを漏らす。
こんな風に話していると、先生だということを忘れそうになるのだ。
「ありがとうございます、雨宮先生。調べてみます」
私がおどけて頭を下げると、おじさんははにかんで、またおでこをかいた。
そしてかけ声をかけて立ち上がった。
「じゃあ、俺は帰るかな。凛ちゃんも早く家の中に入るんだぞ。お父さんと仲良くしてな。また明日学校でな」
「はい。今日はありがとう、おじさん」
石段を下りていく雨宮おじさんの背中の影。
私はその背中に手を振りながら、石段の真下に消えるまで見送っていた。
「守りの鈴……」
そっと呟いて、私はあの痣がある辺りを指先で触れた。
姫巫女様がつかっていた道具と同じもの。
ただ普通に生きてきただけの私が、本当に姫巫女と関係あるわけじゃないよね……。
誰かに問いかけたいのに、視線の先にあったのは空よりも暗いまっ黒で不気味な森だけだった。