狙われし姫巫女と半妖の守護者
図書室の前に着くと、戸をそっと開けて入った。
あまりに静かすぎて、戸の音がやけに響く。
大きな窓の前に構えられた学習スペースに人影はなくて、書棚の動かない大きな影だけが床へとのびている。
先客は誰もいないみたい。
私は早速書棚の方へ歩みだし、姫巫女伝説について書かれた本を探しにかかる。
まずは歴史の棚からチェックしてみようと上から下まで舐めまわすように見た。
すると、このタイトルがすぐに目に飛び込んできたのだ。
“○○町の歴史~姫巫女伝説~”
「あっ」
思わず声を漏らし、私はそれをすぐ手にとった。
きっとこれだ。
表紙には、うちの神社に祀られている姫巫女像の写真。
私はそれを抱えて学習スペースへと向かう。