狙われし姫巫女と半妖の守護者
この背丈に、あの特徴のある髪は、そうはいない。
そういえば今日、クラスに空席があった気がした。
まさかずっとここで、グルメの本を見て夢見ていた、なんてことはないよね……?
私は呆れてため息をつき、脱力して席についた。
烏天狗だったらどうしようって、本気で思って損をした気分。
さて、気持ちを切り替えて、姫巫女伝説について調べないと。
私は深呼吸を一度してから、本の表紙を開いた。
そして小声でぼそぼそと読みだした。
「それはさかのぼること江戸中期。現○○町(旧○○村)には奇妙な洞窟の存在が確認された。その洞窟の先には異界が広がっており、夜毎そこから妖怪が這い出ては人を惑わし、さらうと恐れられていた」
そこまで読んで口をつぐんだ。
こんな文献にまで、妖怪なんて言葉が書かれるの……。
あんなわけのわからない存在が、昔本当に確認されてたっていうの……?
まっ黒い翼の烏天狗が、また脳裏によみがえる。