狙われし姫巫女と半妖の守護者
「そんな、妖怪なんてっ……」
私は思わず頭を抱えた。
「僕はいると思うけどな」
突然、頭上から声が降ってきた。
私の体はびくりと跳ねる。
慌てふためいて体を反らし、見上げる。
「えっ?」
誰かの逆さまになった顔を、口をポカンと開けて眺める。
「ごめんね。驚かしちゃったみたいだね。隣、いいかな?」
端正な顔立ち。私に向ける爽やかな笑顔。
艶っぽい右目の下の泣きぼくろ。
これは、クラスで人気の、九条琴弥……。
「あっ、ああっ、どうぞ」
あたふたする私はイスごと横へずれた。
早速隣に座るすらりとした彼を盗み見て、頬に熱が差す。
キラリと光るビー玉みたいな瞳に、胸が高鳴った。
一体なぜ、こんな人気者が私に話しかけてくるのか不思議で、ひそかに顔をしかめてしまう。