狙われし姫巫女と半妖の守護者


緊張でかたまってキョロキョロとは見られないけれど、彼の仲間はいないよう。

ますますわからない。

「ははっ、そんなに離れなくても。鈴代さんってお茶目だね」

名前を呼ばれてドキッとした。

私がきょとんとして右にいる彼に向き直ると、子供のように屈託なく笑っている。

目は線のように細くなってしまって、白い歯はよく見えるほど。

窓からの夕日を受けた顔はオレンジがかって、お日様みたいにあたたかだ。

私は他の席よりもやけに間隔の開いた私たちの空間を見ながら、ついはにかんだ。

彼の素朴さに、さっきまでの緊張がウソみたいにほぐれていく。

すると彼は笑顔を浮かべたまま、本を覗き込んだ。

「僕、この話詳しいんだ。だから声かけちゃった。鈴代さん、興味あるの?」

「まあ、ちょっと。でも、まだ伝説の名前くらいしか知らなくて」

本当の理由は言えないから、苦し紛れに言葉を濁す。


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