狙われし姫巫女と半妖の守護者


やっぱり烏天狗は、姫巫女伝説に関係していたんだ。

だったら、私が見たのはこの伝説に出てくる烏天狗の末裔……?

数百年もたった今になって、姫巫女伝説になんの用があるっていうの?

動揺して瞳が揺れる。

「鈴代さん、大丈夫?」

不安げに細る九条くんの声。

「平気平気。なんでもないの。続き気になるなぁ」

さも大丈夫というように空元気の笑いをつくって、私は座りなおした。

九条くんは戸惑いながらも頷いてくれる。

「烏天狗たちは、妖怪の世界の規律を守る役割を担っているらしい。そんな彼らにとって、人との交わりを進めることは、妖怪の血を汚すことになってしまったんだね。だから、人と交わった妖怪に激怒して、襲撃しにきたんだよ」

私は静かに息をのむ。

もう他人事としては聞いていられない。

なにが規律を守る、だ。


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