狙われし姫巫女と半妖の守護者
あの人たちなら、人を傷つけることすらいとわない。
定めた目的のためなら、残虐なことだって平気でするはず。
「烏天狗の力は強力で、妖怪と半妖の命がいくつも奪われ、人間までが巻き込まれた。この村は壊れかけたんだ」
寒気がして、自分の身をギュッと抱きしめて、唇を噛んだ。
血の気がさっと引いていく。
想像しようとするだけで、悪寒が走る。
私はもうなにも言えずに、固唾をのんで聞いた。
なのに、ふと見た九条くんの顔からは険しさが消えはじめていて、私は自分の手を緩める。
「そんな村に舞い降りたのが、山の奥に住むとされていた姫巫女だったんだよ。その状況を悲しんだ姫巫女が鈴を鳴らすと、目の前がまっ白に染まるほどの光に包まれたんだって。それは、烏天狗を遠ざけ、命を落とした人を天国へ送ったって……」
「姫巫女様がそんなすごいことを……」
私は九条くんを見つめて、吐息をつくみたいに声を漏らした。
九条くんは目を細めて優しく笑む。