狙われし姫巫女と半妖の守護者
九条くんは今もぼけっとしてまま立ち尽くしている。
バクバクと跳ねる心臓音。
このまま退却だ!
「もももももう、帰るね! 今日は本当に色々ありがとう! それからごめんねっ」
まくしたてるようにそう言えば、私はカバンだけ掴み取って走りだす。
「あっ、ちょっと……」
九条くんの呼びとめる声がしたけれど、こんなにもまっ赤な顔で振り返れない。
私は図書室の外へ飛び出して廊下を走る。
すると、焦った足がもつれて体がつんのめった。
迫ってくる床。
私は息を飲むけれど、次の瞬間にはべちゃりと転んでいた。
「痛~!」
体を支えようとついた肘は電流が走ったみたいにしびれて、私はもう涙目だ。
なんだか今日は、最悪だ。
自分がひどくかっこ悪くて、起きる気力もなく、自分の熱で生あたたかくなった床にのびている。