狙われし姫巫女と半妖の守護者
どこかから聞こえてきた、低く鋭い声。
この声、聞きおぼえがある……。
「わかったよ。今行くから」
私はあの姿を探していた。
そしてそこにいた。
数メートル先のろう下の暗がりに。
「あなた、なんでこんなとこにいるの?」
顔色ひとつ変えない冷たげなあの彼。
今日も着物ではなくてうちの制服を身にまとい、機嫌が悪そうに腕組みをしている。
「お前には、関係……」
「私をずっと、見張りでもしてたの?」
もう、その言葉を言わせる気はない。
私はそれを遮って、強きにくってかかる。
相変わらず涼しげな切れ長の目を、私はじっと睨んだ。
すると彼はずるく、身をひるがえし背を向ける。
短い黒髪が儚く揺れる。
「お前と話してる暇はない。七瀬、さっさと来い」
顔も見ずに発せられるトゲトゲしい彼の声。