狙われし姫巫女と半妖の守護者
絶対に聞くなと、決して私を寄せ付けない。
「ごめんね。行かなきゃ」
七瀬と呼ばれたあの優しい上級生は、私へ済まなそうに頭を下げると、すぐに彼の元へ駆け寄っていく。
この人も、彼の仲間なの……?
彼は一度も振り返らない。
いつだって冷たく、はぐらかし、私の前から遠ざかる。
ますますオレンジを濃くしていく夕日。
私の黒すぎる影が足元に大きくのびている。
まるで、私の抱える不安の分だけ大きくのびたみたいに、ずっとずっとこの足下につきまとっている。
つくづく彼がわからない。
疲れて窓に寄りかかり、伏し目がちの目で彼の背中を見つめていた。
なんで、彼は悲しいオーラを纏っているんだろう。
彼の背中には、私に負けないほどの濃い影がさしていた。