狙われし姫巫女と半妖の守護者
烏天狗の襲撃
*・*・*・*・*
石段をくだりおえて、ため息交じりに俯いた。
私とは正反対のど根性を持った雑草が、コンクリートの小さなヒビから活き活きと緑の芽を出している。
「やんなっちゃうねぇ……」
雑草にぽつりとぼやく。
しょげている私が、本当にちっぽけに見えてきてしまう。
頭上では朝のあいさつを交わす鳥の声が行き交っている。
気ままでいいな。
でも、そんなことを思っても無理なのは自分でもわかっていて、肩にかけたカバンの取っ手をギュッと握り、歩きだした。
歩き慣れた通学路。
道の両脇には、私が小さなころからずっとある瓦屋根の家々。
ブロック塀の切れ間から、田中さんちのシロのぞき見るけれど、犬小屋の中でまっ白な体を丸めている。
まだ、シロも起きていないほど早いんだ。
うちの制服姿も、いつもならいくつかあるはずなのに、ひとつもない。