狙われし姫巫女と半妖の守護者
いつもより早く通学路を歩く朝。
やけに静かで、真央のあの元気な声がないのがさみしくて、目を伏せた。
だけど、真央を守るためなんだからしょうがない。
真央と通学路で一緒にならないために、こんなにも早く家を出た。
伝説を知ったら、烏天狗が余計に怖くなったんだ。
私を狙っているのはきっとなにかの勘違いだと思うけれど、絶対また襲ってくる。
だったら、私にできるのはせいぜい真央を巻き込まないことと、普段の登校時間をずらして私の居場所をわかりにくくさせることくらいだ。
もう遭遇したくない。
そう思って速足になる。
こうやって逃げてやりすごしていれば、そのうちにどうにかなる。
私はそう思いたくて、田畑や家々の景色を次々に流し歩いた。
黙々と歩いていれば学校そばの鉄工所にさしかかる。
でも、突然、胸にずきりと痛みが走ったのだ。
「わざわざ、こんな中歩いてくれて助かったよ」