※俺様甘々ご主人様にご注意下さい。
「ごめん。さっき言ったのはちょっと違うの。」
「さっき言ったの……ってバイトの理由のこと?」
私はコクリと頷いた。
「ホントはね、
怖かったの。」
奏は意味不明、とでも言いたげに私を見た。
「お母さんとお父さんは死んでしまったけど、
私にはさくらがいてくれて、
おじさんが私たちを引き取ってくれて、
働かせてくれて、
奈央と優花っていう友達がいて、
奏が優しくしてくれて、
私はなんて幸せなんだろうって。」
目の前の世界がキラキラして、
私は泣きそうなんだ、って気づいた。
「幸せすぎて、いつかその報いが訪れるんじゃないか、って怖くて怖くて、
今苦労しないと、いつか……
また大切な人がいなくなってしまうんじゃないか、って……。」
奏の目の前なのに、
私はとうとう貯めていた涙を落とした。