夏の夜に咲く恋花火 ~夏祭り~
「いちごとバナナ両方入ったのがいいなぁ。」
私がそう言うと、相川君は私の頭をコツン…と突っついた。
「ぜいたくなヤツ!!」
相川君はね、ものすごくかっこいいけど、
それだけじゃない。
ものすごく優しいんだ。
人の気持ちのわかる、温かい人だって思う。
一緒にいて、そう感じたんだ。
「店の兄ちゃんちょっとキレてただろ!!」
そう言いながら、
バナナといちごの両方入ったクレープを
私に手渡してくれた。
涙が出そうになった。
相川君は、店のお兄さんに頼んでくれたんだ。
『バナナといちご両方入れてやってくれる?』って。
もう止めることなんてできない。
この『好き』は走り出してしまった。
最速のF1カー並みに…
ロケットくらいの勢いで…
「うまいな!」
相川君、もうノックアウト寸前です、私。
相川君は、クレープをパクッとかじった。
…間接キス、だよね?
このままずっと2人でいたい。
もう戻りたくないと思った。