夏の夜に咲く恋花火 ~夏祭り~
少し離れた場所へ移動した私と相川君は、
フィナーレを迎える花火を特等席で見る。
階段を少し登ったその場所は、
障害物もなく、とても見晴らしが良かった。
「俺が、どうして営業部にあんなに顔出すか知ってる?」
花火の音でかき消されないように、
相川君が私の耳に近付いた。
「来年の花火大会、予約していいかな?」
相川君の顔がすぐ近くにあるせいで、
私は何も考えられなくて、
ただ、その顔をじっと見つめた。
大好きな顔がすぐ隣にあることが信じられなくて、
私は動けなくなっていた。