アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
 国道を挟んで左右にある公園。

其処にあるモミノキをクリスマスツリーに仕立てて、願いを込めたオナメント飾る。


二つの公園を結ぶのは、太陽系の惑星を道路面に配置した横断歩道。


一番小さな……
除外された星もある。
発表される以前から其処にあったから、そのままになっていたのだった。


その通路の真ん中に竹で作ったキャンドルスタンドを並べるのだ。


ただ竹を切るだけではない。
薄い石を中に入れての防火対策も岩壁な代物だったのだ。


竹はすぐ伸びて蔓延る。

実は物凄い厄介物なのだ。

良いタケノコを取るために伐採された竹。
これはその有効利用の一部だったのだ。


このアイデアは七夕の時に考えられた。

会場は二つの商店街を結ぶ小道だった。

使用後の竹は小さな垣根にアレンジされて、市民の目を楽しませる。

一石二鳥も三鳥も兼ね備えた町おこしイベントだったのだ。




 この竹のキャンドルケースは、そのまま一方通行の仕切りになる。

それはそれは幻想的で美しい……はずだった。


だから私は母と見たかったのだ。


例によって悪戯する父のために……


まさかこんなことになるなんて……


でもどうしても見たくて、一人で外出した私。

こんな家族と楽しむためのイベントに一人で居る……

楽しいはずなどなかった。

その光は……

これからの人生を照らしてくれる物ではなかった。




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