アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
 でも、思ってた以上に深い雪にペダルが絡む。
タイヤが沈む。


国道沿いの鋪道も地獄その物だった。


(――もし此処で自転車から投げ出されて国道の車に引かれたら……

――水野先生と会えなくなった今……

――私に何があるの?

――これから先もきっと父に意地悪されながら暮らして行くしかないのだろう。

――だったら、いっそのことこのまま此処で……)


遂に……
其処まで私は追い詰められていた。


ふと足を止めた横断歩道。

昨日の余韻の竹のキャンドルケース。
その上に積もった雪で……

私は清水さんに涙を見られたら事を思い出して、急に惨めなった。


(――このまま自転車を捨てて何処かに行きたい!!)

そう思った。




着いた時には、追い出し会は既に始まっていた。

それはそうだ。
私は何時間も……
そう感じられるほど永い時間を、雪との戦っていたのだった。


異常な私を不信に思って、警備員が近づいて来る。


「騒ぎに来たのか?」
質問に首を振った。


「異常者か?」
それにも首を振った。

私はそこで足止めされた。


「親はどうした?」


「その親に、自転車で行けと言われた」
私は正直に答えた。




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