アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
娃(うつくしい)・綾
騒ぎを嗅ぎつけ、教師が何名か出て来た。
その中に水野先生もいた。
(――えっ、嘘!?)
一瞬声を失った。
「水野先生!」
でも次の瞬間。
私は思わず叫んでいた。
私を見つけると水野先生は、すぐに駆けつけて来てくれた。
雪に革靴がはまってしまうことさえ構わずに。
そして……
私の体に降り積もった雪を優しく払ってくれた。
「父が自転車で行けって言ったの。車を汚すのイヤみたいで」
私は泣きながら訴えた。
水野先生は、頷きながら聞いていた。
私はやっと警備員から解放された。
でも追い出し会の私の出番は始まっていた。
「この子は今始まった劇の主役だったんですよ! どの位此処で止められていたのかは知らないけど、確実に間に合ったはずです。可哀相だとは思わないのですか?」
水野先生は警備員に意見してくれた。
「ありがとうございます先生」
そう言いながら私は泣いていた。
出し物はコントのシンデレラ。
私は主役のシンデレラだった。
そう……
又しても例のアミダクジで私は大役を射止めだった。
王子様は……
又しても清水さん。
体育祭の時は清水さんが抜けて、クリスマス会の時は私が抜けた。
アミダクジペアは迷コンビになったようだった。
でも私は水野先生の中に、本物の王子様を見つけていた。
私の王子様、清水さんには悪いけど……
「シンデレラの演技は出来なかったけど、佐々木は本物のシンデレラになったな」
水野先生はしみじみと言った。
私はその言葉の意味が解らなくて、水野先生を見つめた。
「灰被りだ。シンデレラと言うのは、灰被りと言う意味なんだ。本当は、物凄く汚いと言う意味なんだ。今日の佐々木は間違いなくその灰被りだった」
その言葉を聞いた途端、お腹の底から悲しみが突き上げて来る。
私は遂に嗚咽を漏らし始めた。
折角の水野先生との再会が、汗塗れになってしまったからだった。
その中に水野先生もいた。
(――えっ、嘘!?)
一瞬声を失った。
「水野先生!」
でも次の瞬間。
私は思わず叫んでいた。
私を見つけると水野先生は、すぐに駆けつけて来てくれた。
雪に革靴がはまってしまうことさえ構わずに。
そして……
私の体に降り積もった雪を優しく払ってくれた。
「父が自転車で行けって言ったの。車を汚すのイヤみたいで」
私は泣きながら訴えた。
水野先生は、頷きながら聞いていた。
私はやっと警備員から解放された。
でも追い出し会の私の出番は始まっていた。
「この子は今始まった劇の主役だったんですよ! どの位此処で止められていたのかは知らないけど、確実に間に合ったはずです。可哀相だとは思わないのですか?」
水野先生は警備員に意見してくれた。
「ありがとうございます先生」
そう言いながら私は泣いていた。
出し物はコントのシンデレラ。
私は主役のシンデレラだった。
そう……
又しても例のアミダクジで私は大役を射止めだった。
王子様は……
又しても清水さん。
体育祭の時は清水さんが抜けて、クリスマス会の時は私が抜けた。
アミダクジペアは迷コンビになったようだった。
でも私は水野先生の中に、本物の王子様を見つけていた。
私の王子様、清水さんには悪いけど……
「シンデレラの演技は出来なかったけど、佐々木は本物のシンデレラになったな」
水野先生はしみじみと言った。
私はその言葉の意味が解らなくて、水野先生を見つめた。
「灰被りだ。シンデレラと言うのは、灰被りと言う意味なんだ。本当は、物凄く汚いと言う意味なんだ。今日の佐々木は間違いなくその灰被りだった」
その言葉を聞いた途端、お腹の底から悲しみが突き上げて来る。
私は遂に嗚咽を漏らし始めた。
折角の水野先生との再会が、汗塗れになってしまったからだった。