アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
「そう言えば一つだけ気になることが。確か……」
産婦人科医はそう言いながら、沢山あるファイルの中から古い日誌を何冊か持って来て指で探し始めた。
「やっぱりだ」
産婦人科医は、確信したようにそっとそれを閉じた。
「十年位前に、乳児取り替え事件が無かったか聞いて来た人がいる」
その言葉を聞いて、私も確信した。
「その人は、父かも知れません。父はその頃知ったんだと思います。私が本当の子供じゃないと」
「本当の子供じゃないってどうして解った。ちゃんとDNA鑑定してもらったのか?」
私はその言葉を待っていたかのように、父と母の資料が入った袋を提出した。
「父と母の物です。髪の毛だけは混じっているかも知れませんが」
「これでDNA鑑定をお願い致します」
二人同時に言った。
「入って来た時から気になってはいたんだが、この人は?」
「あっ学校の先生です。悩みを打ち明けたら一緒行ってやると言われて」
「申し遅れました。水野孝之と申します。佐々木のことが心配で付いて来ました」
水野先生は私に話を合わせてくれた。
そう確かに文化祭までは、研修中だったけど私にとっては先生だったから。
「初恋かい?」
産婦人科医は私の耳元で囁いた。
私はそっと頷い。
産婦人科医は早急に鑑定に出すと言ってくれた。
連絡先は水野先生の携帯電話。
私がまだ携帯を持っていないと話すと、メモ用紙を電話番号を書いて貰っていた。
産婦人科医はそう言いながら、沢山あるファイルの中から古い日誌を何冊か持って来て指で探し始めた。
「やっぱりだ」
産婦人科医は、確信したようにそっとそれを閉じた。
「十年位前に、乳児取り替え事件が無かったか聞いて来た人がいる」
その言葉を聞いて、私も確信した。
「その人は、父かも知れません。父はその頃知ったんだと思います。私が本当の子供じゃないと」
「本当の子供じゃないってどうして解った。ちゃんとDNA鑑定してもらったのか?」
私はその言葉を待っていたかのように、父と母の資料が入った袋を提出した。
「父と母の物です。髪の毛だけは混じっているかも知れませんが」
「これでDNA鑑定をお願い致します」
二人同時に言った。
「入って来た時から気になってはいたんだが、この人は?」
「あっ学校の先生です。悩みを打ち明けたら一緒行ってやると言われて」
「申し遅れました。水野孝之と申します。佐々木のことが心配で付いて来ました」
水野先生は私に話を合わせてくれた。
そう確かに文化祭までは、研修中だったけど私にとっては先生だったから。
「初恋かい?」
産婦人科医は私の耳元で囁いた。
私はそっと頷い。
産婦人科医は早急に鑑定に出すと言ってくれた。
連絡先は水野先生の携帯電話。
私がまだ携帯を持っていないと話すと、メモ用紙を電話番号を書いて貰っていた。