アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
 年末年始のために産婦人科は診察はやっていなかったが、特別に説明会を設けてくれていた。
私の学校があったからだった。

それに、産婦人科に休みは無かったのだった。

出産は、日時を選んではくれないからだった。


DNA鑑定は、物凄く時間がかかる。
それも年末年始の超多忙な時期なので尚更だった。

でも私のために頑張ってくれた鑑定師。

私は感謝してもしたり無いと思っていた。




「単刀直入に言うと、君は間違いなくご両親から生まれた子供だ」

産婦人科医は私が席に着くと、いきなりABO式仕組みを説明し始めた。


「お父さんがAB型、お母さんがO型の場合は普通君のようなAB型の子供は産まれて来ない筈なんだが」


「やはりシスAB型だったのですか?」

産婦人科医の話の途中に、水野先生が割って入った。

産婦人科医は頷いた。


「もっと詳しく調べてみないと何とも言えないが、多分そうだと思いますよ」

何が何だか全く判らず、私はただぽかーんとしていた。


でも……
水野先生がそのシス何とかってのを知っていたなら、何故もっと早く教えてくれなかったのだろうか?

私はそっちの方面に気が行っていた。


そう、そのシスAB型とO型にスポットを当てて、集中的に鑑定したから早かったのだ。

私の血液型からみると、それしか考えられなかったようなのだ。




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