アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
EYE(目)・綾
(渋谷ってなんて賑やかなんだろう)
素直にそう思った。
不思議だね、初めて来たわけでもないのに。
風邪から肺炎を起こして、ずっと寝込んでいた祖父が一ヶ月位い前に亡くなった。
そのために田舎にずっと行っていたから尚更感じるのだろうか?
でも懐かしくて……
だからついつい遠回りをする。
母と此処に来たのは何年振りだろうか?
スクランブル交差点で、母の手をそっと握ってみた。
途端に見た、びっくりしたような母の顔。
これを待っていた。
「もっと楽しもうよお母さん」
すかさず私は言った。
母ったら、哀しみを一人で背負っているような顔をして歩いている。
(もうー、なんで私が誘ったのか分かっているの?)
全く、娘にこんなに心配かけて。
そんなこと思いながら歩いているから人とぶつかったりする。
(これもみーんな母のせいだ!)
愚痴の一つも言いたくなって、母のいる方向を見た。
(ん、あれっー!?)
一瞬。
母の姿を見失って、慌ててキョロキョロと探したみると……
母は渋谷のシンボルタワーと言うべき建物のの前で立ち止まっていた。
(おいおい又かよー。そっちは道が違うだろ)
そうなのだ。
私の遠回りの原因は、この母の行動だった。
(先が思い遣られるなー)
私はもはや呆れかえっていた。
「疲れた?」
それでも私は母の傍に行って、顔を覗き込んだ。
「ん……ううん」
かったるそうに、首を振りながら母が言う。
「ごめんね誘って!」
私は思わず強い口調で言った。
「CD買うならやっぱり渋谷だと思って。それにお祖父ちゃんが亡くなってお母さん落ち込んでいたから」
ヤバいと思って言葉を足した。
「分かっているよ。ごめんね、お母さん駄目ね。綾に心配ばかりかけて……」
素直にそう思った。
不思議だね、初めて来たわけでもないのに。
風邪から肺炎を起こして、ずっと寝込んでいた祖父が一ヶ月位い前に亡くなった。
そのために田舎にずっと行っていたから尚更感じるのだろうか?
でも懐かしくて……
だからついつい遠回りをする。
母と此処に来たのは何年振りだろうか?
スクランブル交差点で、母の手をそっと握ってみた。
途端に見た、びっくりしたような母の顔。
これを待っていた。
「もっと楽しもうよお母さん」
すかさず私は言った。
母ったら、哀しみを一人で背負っているような顔をして歩いている。
(もうー、なんで私が誘ったのか分かっているの?)
全く、娘にこんなに心配かけて。
そんなこと思いながら歩いているから人とぶつかったりする。
(これもみーんな母のせいだ!)
愚痴の一つも言いたくなって、母のいる方向を見た。
(ん、あれっー!?)
一瞬。
母の姿を見失って、慌ててキョロキョロと探したみると……
母は渋谷のシンボルタワーと言うべき建物のの前で立ち止まっていた。
(おいおい又かよー。そっちは道が違うだろ)
そうなのだ。
私の遠回りの原因は、この母の行動だった。
(先が思い遣られるなー)
私はもはや呆れかえっていた。
「疲れた?」
それでも私は母の傍に行って、顔を覗き込んだ。
「ん……ううん」
かったるそうに、首を振りながら母が言う。
「ごめんね誘って!」
私は思わず強い口調で言った。
「CD買うならやっぱり渋谷だと思って。それにお祖父ちゃんが亡くなってお母さん落ち込んでいたから」
ヤバいと思って言葉を足した。
「分かっているよ。ごめんね、お母さん駄目ね。綾に心配ばかりかけて……」