アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
 勉強は勿論続ける。

だって私には水野先生が付いている。


昨日母が教えてくれた通信教育と文部科学省認定の《高校程度》もある。
それを受けて、大学の勉強もするんだ。
そして何時か……
夫婦で教壇に立ちたい。
それが夢になったんだ。


母は大好きだった彼が中卒なのを悩んでいた時、それがあることを教えたそうだ。
だから、私にも勧めてくれたのだ。


でもまだ課題が残ってる。

水野先生が何故叫んだのか?
本当の理由を知らなければいけないと思った。


暫くして、水野先生は泣きながら言った。


「二人は出会うべきして出会ったんだ。そう思うだろ。親父! お袋!」
水野先生の言葉に両親は頷いた。


(でも……いくら次男坊だと言っても、こんなお屋敷の花嫁が本当に私でいいの?)

私はまだ夢の中にいた。




 「叔父さん、やっと見つけたよ、俺のお姫様を」

水野先生は携帯電話を掛けていた。


(俺のお姫様? って、一体誰? 勿論私よね? ねぇ先生教えて。あの時何故『姫ーー』って叫んだの? 私とどんな関わりがあるの?)




 『この方が例のお姫様?』

そう言えば、水野先生が紹介する前にお義母様が言っていた。

私が緊張の余り上の空だった時だ。


『紹介するよ。俺の親父とお袋。この人は、俺が研修していた学校の生徒で』

水野先生はそう言いながら、優しく私の肩に優しく手を置いてくれた。


そうだった……
私はどうすることも出来なくて舞い上がっていたのだった。


(私は先生のお姫様……? でも何故!?)




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