アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
 「どうしよう。もうすぐパレオエキスプレスが来るわ」

清水さんのお母さんはソワソワし出した。


「えい。仕方ない、君も来て!」

そう言いながら僕の手を引いて改札口前の切符売り場に向かった。


そして、僕の家族分のフリー切符とSL乗車券を購入した。


「えっー、全員ですか!?」

思わぬ事態に其処にいた全員が驚きの声を上げた。


「さあ。行こう」

清水さんのお母さんの掛け声き乗せれて、式典の終わったホームに全員で雪崩込んだ。




 ごった返したホームにSLが入って来た。


……ブォーッ!!

あの汽笛を鳴らしながら。




 僕はホームに踞っていた。


あの夢の音の正体はこれだったんだ。


「何よ男でしょ。汽笛くらいに驚かないの。しょうがないなー。皆手を貸して」

何も知らない清水さんのお母さんの号令の元、僕は皆に抱えてられ、やっと自由席に座った。




 朦朧とする意識の中で、僕は又夢の中をさ迷っていた。


僕はメンヘラだって、同室者が言っていた。

心に病気を持つ人ってことだ。
メンタルヘルスってのが語源らしい。
心の健康って意味なんだけど……

それがメンヘルになって、メンヘラに変わって行ったようだ。


さっきの汽笛に驚いて、思わず踞った僕はやっぱり病気なのかな?




 意識だけが、あの日に帰って行く。

母と出会った日に戻っていく。


僕は夢の中で殺してしまった母の面影を追っていた。



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