アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
「母は言ったんです。母は偶々上野駅で僕を見つけて後を付けたそうです。あまりにも父と似ていたようで、一目で行方不明になった息子だと解ったと。それに島の人に聞いた迷子札のことも知ってました。だからこの人は間違いなく自分の母親だと直感しました。僕は母の言葉を信じたのです」
「中学を卒業して、一緒に生活していたのには訳がありました。保険を掛けるためだと思います。県民共済は十五歳からではないと入れないと聞きました。だからその時を待っていたようです」
「旦那さんの保険を手に入れて気を良くした彼女は、今度はこの子の命を狙いました。それが、あの鉄橋の下の映像のようです」
「家の娘が気付いたそうです。そうだよな綾?」
綾と呼ばれた女の子は頷いていた。
「それ、本当なの!?」
清水さんがそこ子に向かって頭を下げた。
「ありがとう綾ちゃん」
そう言いながら……
「撮影したおばさんと偶然この中で会ってね。何時も連写で撮るって言っていたのよ。私はそれを見せてもらっただけ……大したことなどしてないわ」
「知らなかった……知らずに、お礼も言わずに来ちゃったよ。『貴女のお陰で少年院を出られました。本当にありがとうございました』って彼が言っていたの聞いていたのに上の空で……」
「後で又寄ろうね」
綾さんの提案に清水さんは頷いた。
「その日に撮影した写真の中に、熊谷駅で電車を待つこの子と赤い服装の女性が写っていて……」
「赤い服装……あっ!? それだ。私が見た連写はの女性は」
「その映像が決め手となって僕は釈放されました。本当にありがとうございました」
「いえ、本当に大したことしてない……、でもまさか清水さんの恋人だったなんて……」
綾さんは泣いていた。
清水さんの横顔を見つめながら……
「中学を卒業して、一緒に生活していたのには訳がありました。保険を掛けるためだと思います。県民共済は十五歳からではないと入れないと聞きました。だからその時を待っていたようです」
「旦那さんの保険を手に入れて気を良くした彼女は、今度はこの子の命を狙いました。それが、あの鉄橋の下の映像のようです」
「家の娘が気付いたそうです。そうだよな綾?」
綾と呼ばれた女の子は頷いていた。
「それ、本当なの!?」
清水さんがそこ子に向かって頭を下げた。
「ありがとう綾ちゃん」
そう言いながら……
「撮影したおばさんと偶然この中で会ってね。何時も連写で撮るって言っていたのよ。私はそれを見せてもらっただけ……大したことなどしてないわ」
「知らなかった……知らずに、お礼も言わずに来ちゃったよ。『貴女のお陰で少年院を出られました。本当にありがとうございました』って彼が言っていたの聞いていたのに上の空で……」
「後で又寄ろうね」
綾さんの提案に清水さんは頷いた。
「その日に撮影した写真の中に、熊谷駅で電車を待つこの子と赤い服装の女性が写っていて……」
「赤い服装……あっ!? それだ。私が見た連写はの女性は」
「その映像が決め手となって僕は釈放されました。本当にありがとうございました」
「いえ、本当に大したことしてない……、でもまさか清水さんの恋人だったなんて……」
綾さんは泣いていた。
清水さんの横顔を見つめながら……